高齢の親の歯の治療、インプラントと入れ歯どっちがいい?年齢・持病・将来の介護まで考えた選び方

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入れ歯
2026/09/13

高齢の親の歯の治療、インプラントと入れ歯どっちがいい?年齢・持病・将来の介護まで考えた選び方

「父の奥歯が抜けてしまい、インプラントと入れ歯のどちらにすべきか迷っている」「母はもう80歳近いけれど、インプラントの手術に耐えられるだろうか」。

70〜80代の親御さんの歯の治療について、ご家族からこうしたご相談をいただくことが増えています。

高齢の方の治療選びで大切なのは、「今よく噛めるか」だけでなく、持病や体力、そして10年後・15年後の暮らしや介護まで見据えることです。この記事では、インプラントと入れ歯それぞれの特徴をわかりやすく解説します。

インプラントと入れ歯の基本的な違い

インプラントは顎の骨に人工の歯根を埋め込む「固定式」、入れ歯は取り外しができる「可撤式」の治療です。主な違いは次のとおりです。

比較項目 インプラント 入れ歯
治療方法 外科手術で顎の骨に人工歯根を埋め込む 型を取って作製。手術は不要
噛み心地 自分の歯に近く、しっかり噛める インプラントに比べると噛む力は弱め
見た目・違和感 自然で違和感が少ない 慣れるまで違和感が出やすい
治療期間 数か月〜1年程度 数週間〜数か月程度
費用 原則自費診療で高額になりやすい 保険診療でも作製可能(自費の入れ歯もあり)
お手入れ 口の中で歯ブラシ等による丁寧な清掃が必要 外して洗える。家族や介護者も清掃しやすい
体調変化への対応 一度埋め込むと簡単には外せない 口の状態に合わせて調整・作り直しがしやすい

※治療期間や費用は、お口の状態や治療内容によって異なります。

高齢でのインプラント:手術リスクと持病の確認

インプラントは外科手術を伴う治療です。高齢の方の場合、手術そのものの負担に加え、全身の健康状態をより慎重に確認する必要があります。

事前に確認が必要な主な持病・お薬

⚬ 糖尿病: 血糖コントロールが不十分だと、傷の治りが遅れたり感染しやすくなったりします。

⚬ 心臓病・高血圧: 手術中の血圧変動や、服用中のお薬への配慮が必要です。

⚬ 血液をサラサラにするお薬(抗凝固薬・抗血小板薬): 出血への対応を事前に計画します。

⚬ 骨粗しょう症のお薬: 骨吸収抑制薬は、抜歯などの外科処置がきっかけに合併症を引き起こす可能性があるため、事前の情報共有が欠かせません。

⚬ その他: 腎臓・肝臓の病気、がん治療中・治療歴、ステロイドの服用など。

これらの持病があっても、主治医と連携し、状態が安定していればインプラント治療が可能なケースもあります。大切なのは、お薬手帳や検査結果をもとに、歯科医院と主治医が情報を共有したうえで判断することです。

また、顎の骨の量や質、手術時間や通院回数に対する体力なども、治療法を選ぶ際の重要なポイントです。

見落とされがちな将来の課題:セルフケアとインプラント周囲炎

手術を無事に終えても、インプラントは「入れて終わり」ではありません。高齢の方の治療選びで特に考えておきたいのが、将来、ご本人が歯みがきを十分にできなくなったときの管理です。

インプラント周囲炎とは

インプラントの周りに汚れがたまると、歯周病に似た炎症が起こります。これを「インプラント周囲炎」といいます。進行すると、インプラントを支える骨が溶け、最終的にはインプラントが抜けてしまうこともあります。天然の歯に比べて、炎症が進みやすい傾向があるとされています。

介護が必要になったときに起こりうること

今はご自身でしっかり歯みがきができていても、年齢を重ねると次のような変化が起こることがあります。

⚬ 手や指の動きが衰え、細かい部分まで磨けなくなる

⚬ 認知症の進行で、歯みがきの習慣が保てなくなる

⚬ 病気や入院、施設入所で、定期的な歯科通院が難しくなる

インプラントは口の中に固定されているため、ご家族や介護者が清掃するには、奥まった部分まで専用の道具で磨く技術が必要です。清掃が行き届かないとインプラント周囲炎のリスクが高まり、場合によっては訪問歯科での対応や、上部構造(被せ物)の取り外しなどの処置を検討することになります。

インプラントを選ぶ場合は、「将来、誰がどのようにお手入れを支えるか」までご家族で話し合っておくことが大切です。

入れ歯のメリット:家族や介護者が管理しやすい

入れ歯の大きな利点は、取り外してお手入れができることです。介護の場面では、この点が大きな安心材料になります。

⚬ 外して洗える: ご本人が磨けなくなっても、ご家族や介護者が外して流水とブラシで清掃できます。

⚬ お口の中も清潔に保ちやすい: 入れ歯を外すことで、歯ぐきや残っている歯のケアもしやすくなります。

⚬ 手術が不要: 体への負担が少なく、持病がある方でも選びやすい治療です。

⚬ 調整・作り直しがしやすい: 歯ぐきがやせたり、残っている歯が抜けたりしても、修理や作り直しで対応できます。

⚬ 訪問歯科でも対応しやすい: 通院が難しくなった後も、ご自宅や施設で調整を受けられる場合があります。

一方で、合わない入れ歯は痛みや噛みにくさの原因になり、食事量の低下にもつながります。入れ歯を選ぶ場合も、しっかり合ったものを作り、定期的に調整を受けることが大切です。

年齢だけで決まるものではありません

ここまで高齢でのインプラントの注意点をお伝えしましたが、「〇歳以上はインプラントができない」という決まりはありません。同じ80歳でも、健康状態や生活環境は人それぞれです。

インプラントが検討しやすい方

⚬ 持病がない、または主治医の管理のもとで安定している

⚬ ご自身で丁寧に歯みがきができ、定期的に通院できる

⚬ 入れ歯がどうしても合わず、食事や会話に困っている

⚬ しっかり噛むことが、生活の楽しみや意欲につながっている

入れ歯が向いている方

⚬ 持病が多い、または体力面で手術の負担が心配

⚬ 手先の動きや認知機能に不安があり、将来の介護を見据えたい

⚬ 通院の継続が難しくなる可能性がある

⚬ 費用や治療期間の負担をできるだけ抑えたい

「組み合わせる」という選択肢も

少ない本数のインプラントで入れ歯を支える「インプラントオーバーデンチャー」という方法もあります。入れ歯の安定感を高めつつ、取り外して清掃できるのが特長です。手術は必要ですが、インプラントと入れ歯の中間的な選択肢として、状態によってはご提案できる場合があります。

ご家族で確認しておきたいチェックポイント

治療法を決める前に、次の点をご家族で話し合っておくと、ご相談がスムーズになります。

⚬ 現在治療中の病気と、服用しているお薬(お薬手帳の確認)

⚬ご本人の「よく噛みたい」「手術は避けたい」などの希望

⚬毎日の歯みがきがどの程度できているか

⚬ 今後、定期的に通院を続けられそうか(送迎の有無も含めて)

⚬将来お手入れが難しくなったとき、誰がサポートするか

⚬治療にかけられる費用の目安

まとめ

インプラントと入れ歯には、それぞれにメリットと注意点があり、「どちらが正解」とは一概に言えません。高齢の親御さんの治療では、次の3つの視点で考えることが大切です。

1. 今の体の状態: 持病やお薬、手術に耐えられる体力があるか

2. ご本人の希望: どのくらい噛めるようになりたいか、手術への抵抗感はどうか

3. 将来の暮らしと介護: お手入れを誰がどう支えるか、通院を続けられるか

兵庫県姫路市のやはた歯科では、入れ歯・義歯の専門治療を行っており、患者様ご本人だけでなく、ご家族と一緒の個別相談を推奨しております。

当院では義歯専門の歯科技工所と連携し、保険適用の入れ歯はもちろん、しっかり噛めて違和感の少ない「BPSデンチャー」や、痛みが少なくフィット感に優れた「リプロデンチャー」など、幅広い自費の入れ歯もご用意しています。治療の選択肢やリスク、ご予算、そして将来の管理方法に至るまで、ご家族の皆さまが納得できるよう丁寧にご説明いたします。

ご来院の際は、お薬手帳をぜひお持ちください。「まずは話だけ聞いてみたい」「親にはどの治療が合うのか相談したい」というご家族の方も、どうぞお気軽にご予約・お問い合わせください。

この記事の監修

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八幡 智裕(やはた ともひろ)

当院は、平成10年10月、姫路市勝原区や網干区、太子町の患者様が多い歯科医院です。おかげさまで開院当初から、たくさんの患者様にご来院いただいています。「第一に患者様のことを考えた治療を行うこと」を何より大切にしており、患者さんとの相互理解を重要視し、患者様にご満足いただけるよう医院作りに努めています。

所属学会・研修会

日本歯科医師会 会員/兵庫県歯科医師会 会員/姫路歯科医師会 会員/国際歯周内科学研究会 会員/JPDA 有床義歯学会 会員/研修会筒井塾 咬合療法コース/山田先生エンドベーシックコース/大阪SJCDベーシックコース/大阪SJCDレギュラーコース/OSIインプラントセミナー/S.O.R.Gベーシックコース/JACID インプラント100hコース/CALLベーシックセミナー

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